すべてのものは「人」がいて生まれる。五感が退化している現代人が、本当にやりたいことを見つけるためにすべきこと。

【Vol.7-3 伝統の森 IKTT 森本喜久男氏 学生にむけて編】

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MYGOAL 第7回目のインタビューは、伝統の森 IKTT 森本喜久男氏。

内戦で失われかけた、カンボジアの伝統の織物の復興のために、20年以上尽力されている森本さん。人と自然が共生する伝統の森。100年の伝統を甦らせた布。なにもない荒地から、豊かな森を育てあげた森本さんのキャリア、そして太く鋭い志をお聞かせいただきました。

《伝統の森 IKTT 森本喜久男氏 インタビュー記事一覧》

  1. キャリア編 いじめから逃げるため家出した先にあった、一人の人間としての自我の目覚め。家族が解体されて、雇用制度が解体されて、不安定になった日本を生きる私たち。
  2. キャリア編 カンボジアの素晴らしい伝統が失われようとしていた現実。何もなかった荒地を開墾し、耕し、木を植え、0から豊かな森をつくる。「伝統の森」の軌跡。
  3. 学生にむけて編 すべてのものは「人」がいて生まれる。五感が退化している現代人が、本当にやりたいことを見つけるためにすべきこと。 ←今ココ

「諸行無常」 人間も自然も常に変化している。

エイミー:これからの森本さんの夢について教えて下さい。

森本さん:まあ、僕は自分のやることをやり終えたから、もう僕は現役引退だからね。これまで一緒にやってきたカンボジアの人たちが、この森を、この仕事を、どういう風にしてくれるのかなって、僕はここでコーヒーを飲んでタバコを吸って、みんなが働いているのを見ているだけだからさ。皆が自分たちでこの活動を継続していってくれたらいいなと思ってる。

ただね、人間も自然も常に変化しているんだよね。変化しないものはないからね。自分も変わっていくし、自分の周りの人も変わっていく。その周りの自然も変わっていく。自然っていうのは固定していないからね。常に変化しているから。私たちはその自然の中に身を置いている。

日本の言葉で「諸行無常」ってあるでしょ。あれはそういうこと。すべての出来事は、常に変化していく。全て常なるものはなしって。でも人間っていうのは逆で、この状態でいたいって思いがあるでしょ。でもそれは儚い。そんなのないのさ。いつも変化しているんだから。

僕はよく言うんだけど、伝統っていうのは守るんじゃなくてつくるもの。同じ伝統っていうのはない。伝統も常に変化してここにある。それはもう今言った諸行無常と同じ。

僕らはたまたま縁があって、カンボジアの織物の世界に入ってきて、新しい織物の文化をつくってきて、これがあとカンボジアの人たちが持続していってくれたら、あと20年くらい続くかもしれない。でもそれで消えていってしまうかもしれない。それも自然の出来事だよ。それも一つの諸行無常。

すべてのことは人ありきで人が存在していることで成り立っている。

エイミー:大切にされている生き方を教えて下さい。

森本さん基本は人さ。人は宝だよ。すべてのことは人ありきで人が存在していることで成り立っている。自然っていうのは自然とそこにあって、新しいものは自然と人との関わりで生み出されていくんだよね。例えば、糸を作ったり、染料を作ったり、織物を作ったり・・って、それは自然との関わり合いの中で生み出されるもの。だから自然を宝に変えるのは人さ。山があったら僕は宝の山だって思うけど、それを宝に変えられるかどうかっていうのは人の行いだよ。

すべて自然と人との関わり合いの中で生み出されていく。だから基本は人。だから僕は、そういう「人」という宝が「人」らしく暮らせる、「人」が「人」として暮らせるかたち・・それはコミュニティだったり、家族だったりするんだけど、そういう環境を作ることが僕らにとって大切なことだと思うかな。

この伝統の森を十何年やってきて、独身だった男性がここで女性と知り会って、結婚して、子どもが生まれて・・っていう人が何人もいてね、今その子どもたちがここで走り回って遊んでいる。そういうことだよ。

土と触れ、自然と向き合い、四季を感じる感性を。自分を見つけるきっかけを。

エイミー:学生に向けてメッセージをお願いします。

森本さん自分が何をやったらいいかわからないっていう人に、僕が勧めるのは農業。農業をやりなさい。大学を休学してでも、1年でも2年でも。農業っていうのはとてもとてもクリエイティブな仕事だよ。種から野菜や果物を育てて収穫する。そうやって土と人間が触れることで見えてくる世界があるんだよね。それは都会では見れない。四季の移ろいは、街にいると感じないでしょう。今の私たちは五感が退化しているよ。土と触れ、自然と向き合い、四季を感じる。そうすると人間のもっている五感が戻ってくるから。そうするとね、本当に自分が何をやりたいかって見えてくるよ。一生って、人生って長いでしょ。大学入って1年くらいはとりあえず授業に出て、1、2年は休学して農業して。1、2年を他のことに費やしても全く無意味じゃないよ。むしろとっても意味がある。価値がある。農業を通じて自分の本当にやりたいものを見つけて、残りの大学生活をそれに向けて勉強していったらいいと思う。そういうことができるはずだよ。

本当にやりたいことを見つけるために時間をかけるのは全く無駄じゃない。

森本さん何かを成し遂げようとしたらやっぱり10年かかる。僕は職人だから、職人って1人前になるのに10年かかるって言われるけど、何でもそうなんだよ。技術を自分のものにしていくっていうのは、10年っていう一つの区切りが必要で、今君たちはその前段にいるわけでしょ。本当にやりたいことを見つけるために時間をかけるのは全く無駄じゃない。僕は20代っていうのは自分の本当にやりたいことを見つける期間だと思っている。そのやりたいことを専門性に進化させていくのが30代。その専門性を持って花開かせていくのが40代。50代と60代はおまけだよ。僕はもう60後半だからおまけのおまけだね(笑)

喜びっていうのはリスクを超えた先にある。

森本さん:今の日本にはリスクを避けようとする考えがあるのかな?でもね、喜びっていうのはリスクを超えた先にある。だからリスクを避けるのは喜びを避けることになるんだよ。だからリスクを避けてはいけない。「ノンリスクがいい」っていう考えは、僕らより一個下の世代・・多分君たちの親御さんや先生だと思うけど、その時代の日本で蔓延してしまった。あれは間違いさ。今日本人が退化しているけど、この退化していくのをつくったのはこの「ノンリスク」っていう考えだよね。みんなが消極的になっていった原因。今の学生はそういう考えの中で育ってきてしまった。ノーリスクがいいってね。

同時に「核家族がいい」っていう考えもそう。それは残念なこと。機会があったらお祖父さん、お祖母さんとなるべく暮らすようにして。昔は三世代、四世代って皆で暮らしていたんだから。お祖父さん、お祖母さんが、君たちが結婚してひ孫が生まれて・・って、そういうのを見ながら暮らすっていうのが家族の基本的なかたちだったんだよ。頑張って君たちにはそういう日本を取り戻してほしい。

ー森をつくり、伝統をつくる 「伝統の森」へのアクセスー

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シェムリアップの町から北へ1時間。赤土の大地、広く大きな青空を進んだ先にある「伝統の森」。この豊かな自然こそが、森本さんが荒れ地からつくられた森であり、約200人が暮らす村なのです。シェムリアップにお越しの際は、ぜひ「伝統の森」に足を運ばれてはいかがでしょうか?「伝統の森」について詳しくはこちらからどうそ。

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