「会計」から「税務」の仕事へ。「日本」から「シンガポール」へ。外国人400人の中、ひとりの日本人として働くということ。

【Vol.6-2 BDOシンガポール 公認会計士 岸賢一郎氏 キャリア編】

岸様インタビュー

MYGOAL 第6回目のインタビューは、BDOシンガポール 公認会計士 岸賢一郎氏。

日本の公認会計士の資格を持ち、米国公認会計士の試験もパスし、シンガポールの会計事務所で400人の社員のなか、ひとりの日本人として働かれている岸さん。学生時代は「海外」に全く興味がなかったという岸さんが、世界100何十カ国に拠点があるネットワークで、日本の存在感を高めていこうという意思を持つに至った経緯とは・・?

公認会計士のお仕事に興味がある方、必見です!ぜひ読んでください!!

《BDOシンガポール 公認会計士 岸賢一郎氏 インタビュー記事一覧》

  1. キャリア編 プレッシャーに押しつぶされ、受かると思っていた会計士試験に落ちる。そこから実践したメンタルの鍛え方とは?
  2. キャリア編 「会計」から「税務」の仕事へ。「日本」から「シンガポール」へ。外国人400人の中、ひとりの日本人として働くということ。 ←今ココ
  3. 学生にむけて編 TOEICも会計士試験も、自分の努力がそのまま反映される。しかし仕事は、自分一人の力だけで成果を出せるものではない。

会計士の仕事というのは、お客様の間違っているところを見つけること。お客様との人間関係がその人間関係がすごく難しい。

エイミー:試験合格後、岸さんの公認会計士としてのお仕事について教えていただけますか?

岸さん:試験合格後は、監査法人トーマツに入りました。皆、会計・監査をやりたいという似たような人が入社しているので、すごく居心地がよい職場でした。大変だったのは・・お客様でしたね。会計士の仕事というのは、お客様の間違っているところを見つけることなので、当然お客様は面白くないんです。また僕自身、会計のことはわかっても、会社のことまでは最初わからないので・・実際に使われている元帳なんて見たこともなかったんです。試験では与えられるものだったので。でも仕事では、自分で資料を探しに行かないといけない。そのためには、お客様との人間関係が重要になってくるんです。その人間関係がすごく難しい。あんまり仲良くなっちゃうとダメなんですよね。「ノー」と言えなくなってしまうので。また、あまり離れていると情報をくれなかったり・・。

エイミー:お客様との距離感が難しいですね。どうやって、その距離感を保たれているんですか?

岸さん:普段は仲良くしていて、ダメな時はダメという、もうそれしかないですね。お客様も会計士の仕事をわかってくれているので。でも僕は・・そういった関係が好きじゃなかったんです。会計は好きだったんですけど、お客様の仕事を邪魔しているみたいで嫌だったんです。それで6年でトーマツを辞めて、BDOジャパンに転職し、税務関連の仕事を始めました。

会計の仕事と、税務の仕事。

エイミー:税務と会計だと、どう違ってくるんでしょうか?

岸さん:税務は、お客様が協力的なので。共通の敵は税務署になるんです(笑)会社のために、いかに節税しつつ、適切な税務報告書を作成するか。節税しようと、お客様と方向性が一緒になるんですね。税務調査がある際には、一緒に立ち向かっていく。税務の方は、会社のためにアドバイスをすることが仕事なので、会社の人も協力的なんですよ。僕は、そっちの方がいいなと思って。

監査って結局、監査報告書の作成のためなんですよね。会計の結果をつくる、正しさを求めるだけのものなんです。それに対して、税務というのは、こういう処理をしたら、税金が変わって利益が変わると、よりお客様側に立って価値を提供することができる。税理士さんも、税には詳しいんですけど、上場会社の会計、国際会計基準、最近の会計基準などは、会計士ほど詳しくないんですね。そういったところで会計士であるという、自分の付加価値を出せると思いました。

トーマツ時代:パースでの1週間のホームステイ。

エイミー:「会計」から「税務」にお仕事の内容を変えられたこと、すごい納得しました!また「英語」や「海外」に興味を持たれたのは、何がきっかけだったのでしょうか?

岸さん:トーマツで働いていた時、お客様であった上場会社の子会社が海外にあったことから、ちょっとずつ国際会計基準が話題になり「将来的に英語ができないとまずいだろう」と感じるようになりました。実務で英語を使うことはなかったんですが、トーマツの頃からTOEICの勉強や英会話を始めました。

そうして英会話を始めるうちに「海外でホームステイしてみたい」と思うようになって、26歳の時に1週間だけ休みを取って、オーストラリアのパースに行きました。正直ホームステイ先の家族が何を言っているのかわかんなかったんですけどね・・(笑)語学学校にも通ったんですが、その時思ったのは英語は日本で勉強できるなあ・・と。語学学校の授業は、英語で説明しているからよくわからないし、だったら日本語で学んだ方が効率がいいなと。確かに街に出て、現地の人と会話する機会は多いんですけど、その会話内容って、たかが知れている内容だったので、日本で文法とかをちゃんと勉強した方がいいのかな、と思いました。

BDOジャパン時代:シドニーでの3カ月の語学留学・トレイニー。

岸さん:トーマツから転職して、BDOジャパンに入ってからは、国際税務を主な業務でやっていました。海外とのメールはなんとかなるんですけど、英語での会議についていけず、長めに海外で勉強したいと思いました。それで32歳の時に休職して、3ヶ月間今度はオーストラリアのシドニーに行きました。語学学校に午前中行って、午後はBDOシドニーのオフィスでトレイニーをしました。それからですね、強く海外で仕事をしたいと思うようになったのは。

エイミー:どうして海外で仕事がしたいとなったのですか?

岸さん:日本と全然、生活が違うからですかね。気候もいいですし、人も優しいですし、人種差別はあるけど、すごくすごしやすかったんです。シドニーで働けたらな、と思いました。

エイミー:シドニーと日本を比べて、日本のマイナス面って何だったのでしょうか?

岸さん:日本は忙しすぎるといいますか・・。日本の方が経済は発達していますが、オーストラリアはプライベートが充実していて、ゆったりとした時間が流れていました。日本は日本でよかったですし、日本が嫌だった、というわけではなくて、違うことも経験したい、という思いが募っていったんですね。

BDOジャパンを退職し、BDOシンガポールへ。

岸さん:オーストラリアから帰って、2年間くらいBDOジャパンで働いてから、ボスに「海外で働きたい」と伝えました。その頃は駐在制度がなかったので、海外で働くとなると、BDOジャパンをやめるしかないと。ボスがシンガポールのボスと仲良かったので「シンガポールに面接に行ったらどう?」と言われて、その頃英語はそんなに話せなかったんですけど、たどたどしい英語でなんとか、、2012年の5月にBDOジャパンを退職して、BDOシンガポールに来ました。

エイミー:シンガポールの会計基準は、日本と同じですか?米国CPAの資格も、岸さん取得されているとのことですが・・

岸さん:シンガポールの会計基準は、日本と違いますね。トーマツをやめて、BDOジャパンで国際業務をやる中で、海外の専門用語がわからなかったので、米国CPAの勉強を始めました。その頃は米国公認会計士の試験は日本で受けられず、グアムに行って試験を受けたんです。試験内容自体は、日本の会計士の試験を受けているので難しくなかったんですが、英語でアプリケーションつくって申し込んで、全部英語で説明を受けて・・っていう感じで「語学面」のハードルが高くて。シンガポール行く前に資格を取得しました。正直シンガポールでの仕事にはあまり役立っていないんですけどね(笑)

ジャパンデスクの立ち上げ。自分は決まられたことをやるより、自分でなにかつくっていく方が好き。

エイミー:シンガポールに来られて5年目ということですが、お仕事のやりがいについて教えて下さい。

岸さん:このオフィス全体で、社員が400人超いるのですが、その中で日本人は僕1人なんですね。自分は決まられたことをやるより、自分でなにかつくっていく方が好きなので、シンガポールに来てからはジャパンデスクをつくって、新規のお客さんをとろうと、セミナーに参加したり、セミナーを自分でやったり、ニュースレターをつくったりしてきました。1年目2年目はお客さんがとれず、厳しかったんですけど、0からスタートというのが面白かったですし、大変だった分、いい経験になったと思っています。今はその自分で立ち上げたジャパンデスクの仕事とローカルの仕事を半分ずつやっています。

ローカルは、サポート的な仕事になりますね。日本人ではない方、シンガポール人がお客様になるので、お客様から「なんで日本人なんだ?シンガポールのことを聞きたいのに・・」となってしまうんですよね(笑)お客様が日本の企業だと、日本の会計士ということで信頼していただけるんですけどね。

ただ、ジャパンデスクだけだと、仕事が日本語だけでのやりとりになってしまうので、ローカルの仕事もさせてもらって英語や文化などを学べて本当に良かったと思います。シンガポールの人は基本的に日本のことが好き、というのもあって、みんなよくしてくれますし、学ぶことが多いです。

つづき!

【Vol.6-3 BDOシンガポール 公認会計士 岸賢一郎氏 学生にむけて編】TOEICも会計士試験も、自分の努力がそのまま反映される。しかし仕事は、自分一人の力だけで成果を出せるものではない。

今自分がうまくまわっているのは、前の自分が頑張ったからだと。勉強は明日すぐ役に立つことではないけど、いつかは役立つものだと思っています。「今頑張らないと、将来が大変だぞ!」とプレッシャーをかけてやっていますね。ずっと人は努力しなきゃいけないので。努力をやめてしまったら、それで終わりですからね。

BDOシンガポール 公認会計士 岸賢一郎氏 学生にむけて編より

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